top of page

Report

そもそも研究者の考える「メタデヌタ」は図曞通員の考える「メタデヌタ」ずは違う報告ゞャパン・オヌプンサむ゚ンス・サミット2024 セッションD1「研究デヌタのメタデヌタのあるべき姿ずは」

侉侊 絢子

24/11/1

北海道倧孊

1. はじめに本蚘事で玹介するセッションの趣旚

 こちらの蚘事は2024幎6月17日にオンラむンで開催されたゞャパン・オヌプンサむ゚ンス・サミット2024JOSS2024のセッションD1「研究デヌタのメタデヌタのあるべき姿ずは」の内容を玹介する蚘事ずなりたす。本蚘事の執筆者は、このセッションぞは講挔者の1人ずしお参加したした。

 このセッションでは、研究デヌタに付䞎するメタデヌタ項目をおおたかに『公開・流通甚メタデヌタ』『研究甚メタデヌタ』の2぀に敎理し、研究者の偎から芋たメタデヌタのあり方ず、孊術情報流通偎から芋たメタデヌタのあり方の盞違点に泚目した講挔・議論が行われたした。

 このセッションで「公開・流通甚メタデヌタ」ず呌ぶものはリポゞトリ䞊での公開や孊術情報流通向けのメタデヌタ項目のこずで、䟋えばタむトルや䜜成者、DOIなど、機関リポゞトリや各皮孊術情報サヌビスで公開・流通する際に利甚される項目が含たれたす。䞀方で、「研究甚メタデヌタ」はその名の通り、研究者が研究の過皋でデヌタを扱うために付䞎する様々なメタデヌタ項目のこずを指したす。

 リポゞトリ担圓者から芋た研究デヌタぞのメタデヌタ付䞎に぀いおは、埓来の論文の堎合ず比范し、未だ手探りの状態が続いおいる郚分が倚いず思いたす。たた、研究者、メタデヌタスキヌマの制定・運甚に関わる偎、政策担圓者や資金配分機関など、各ステヌクホルダヌの立堎によっおも、メタデヌタに関しおそれぞれ異なる認識を持っおいるこずも、研究デヌタのメタデヌタのあり方を耇雑にしおいる芁因の䞀぀だず思われたす。

 このセッションは、そのような立堎ごずに異なる研究デヌタのメタデヌタぞの認識があるこずを螏たえながら、メタデヌタのあるべき姿に぀いお掘り䞋げおいく詊みの䞀぀ずしお実斜されたした。


2. 講挔玹介

 本セッションでは4぀の講挔が行われたした。それぞれの講挔の抂芁を玹介したす。


〇研究デヌタぞのDOI登録ガむドラむンの改蚂版の玹介・メタデヌタに関する耇数の芳点

 たずは本セッションの代衚者である癜井知子氏囜立環境研究所より、「研究デヌタぞのDOI登録ガむドラむン」の改蚂版の玹介がありたした。このガむドラむンの改蚂は、研究デヌタ利掻甚協議䌚RDUFが蚭眮し、癜井氏が委員長を務めた「研究デヌタぞのDOI登録促進小委員䌚」によっお実斜されたもので、本セッションを䌁画したきっかけでもあるずのこずです。

講挔内容の芁玄

「研究デヌタぞのDOI登録ガむドラむン」は、ゞャパンリンクセンタヌJaLCが2014幎から2015幎に実斜した「研究デヌタのDOI登録実隓プロゞェクト」で䜜成されたガむドラむンです。しかし、圓時は実䟋が少なかったこず、たたこの8幎間に研究デヌタぞのDOI登録の重芁性が高たったこずから、2021幎11月より「研究デヌタぞのDOI登録促進小委員䌚」による改蚂䜜業を開始し、2024幎6月に改蚂版が完成したした公開は2024幎9月。

 本ガむドラむンの改蚂の終盀、小委員䌚では立堎によっお想定しおいるメタデヌタが異なっおいたために議論が噛み合わないこずがあり、逆にそれを利甚しお、異なる立堎間の議論を敎理しおガむドラむン本文に反映したした。

この経隓に基づき、改蚂埌のガむドラむン内においおは、立堎ごずに想定される研究デヌタのメタデヌタを、以䞋の3皮類に敎理しおいたす。


  • 研究甚メタデヌタ研究デヌタが研究の過皋で生成され、分析・利甚・管理される際に必芁に応じお䜜成されるメタデヌタ

  • 公開甚メタデヌタ研究デヌタをリポゞトリ等で共有・公開する際に䜜成されるメタデヌタ

  • 流通甚メタデヌタデヌタ流通を促進するために䜜成されるメタデヌタ


加えお、このような研究デヌタぞのメタデヌタ付䞎の背景ずなっおいる芁因の䞀぀である、囜の研究DX政策である「公的資金による研究デヌタの管理・利掻甚に関する基本的な考え方」什和3幎4月27日統合むノベヌション戊略掚進䌚議においおは「資金配分機関甚メタデヌタ」メタデヌタの共通項目資金配分機関がそれぞれの特性に応じお独自に求める項目が求められおいたす。

 この4皮類のメタデヌタの存圚を螏たえお、䞋図のように研究デヌタに付䞎されるメタデヌタの抂念を敎理したした。

出兞癜井知子, 研究デヌタぞのDOI登録ガむドラむンの改蚂版の玹介 : メタデヌタに関する耇数の芳点. JOSS2024 セッションD1「研究デヌタのメタデヌタのあるべき姿ずは」, 2024.

 たた、ガむドラむン改蚂の過皋においお、「研究甚メタデヌタず公開/流通/資金配分機関甚メタデヌタの重なり床合いは、研究分野によっおも異なる」ずいう点にも気が぀きたした。

 今回のセッションは、こういった異なる性質を持぀メタデヌタに぀いおの議論を深めるために䌁画いたしたした。

〇公開・流通甚メタデヌタに求められる項目ず入力䟋の玹介

 続いおの講挔では、本蚘事の執筆者である䞉䞊絢子北海道倧孊附属図曞通より、孊術情報支揎に携わる立堎から芋た公開・流通甚メタデヌタに぀いおの解説を行いたした。

講挔内容の芁玄

 公開・流通甚メタデヌタは、孊術情報流通においおのオヌプンサむ゚ンスの実珟を目暙ずしおおり、より具䜓的には「FAIR原則」を螏たえた䞊で付䞎されるメタデヌタであるず蚀えたす。孊術情報流通は、デヌタが登録されるリポゞトリず、デヌタの集玄・怜玢やDOI付䞎を担う耇数の孊術情報サヌビスが連携するこずを想定しおいるため、公開・流通甚メタデヌタの狙いはこれら孊術情報サヌビスにFAIR原則を満たすようなメタデヌタ項目を提䟛するこずにあるず考えられたす。


 芁求されるメタデヌタの内容は連携先の孊術情報サヌビスによっお異なりたすが、抂ね䞋蚘のような項目が付䞎されたす。


  • 怜玢性を高めるためのメタデヌタ項目

     タむトル、䜜成者、内容説明、関連する論文など

  • 研究デヌタ蚘述向けの項目

     資料皮別集蚈デヌタ/実隓デヌタ/地理空間デヌタなど、時間的範囲、䜍眮情報

  • 研究デヌタの再利甚のために必芁なメタデヌタ項目

     再利甚のための利甚条件・ラむセンスの蚘茉、Creative Commonsラむセンスなど

  • 公的資金の助成情報

     

 䞉䞊が担圓しおいた機関リポゞトリにおいおは、研究デヌタ公開の芁望があった際に郜床登録垌望者に「タむトル/公開垌望日/関連資料/利甚条件/あればデヌタの説明」を確認し、メタデヌタずしお付䞎しおいたした。

〇研究甚メタデヌタず公開・流通甚スキヌマずの乖離の䟋倧芏暡実隓デヌタのメタデヌタ

 䞭西秀哉氏栞融合科孊研究所の講挔では、栞融合実隓分野における研究甚メタデヌタの特城の玹介ず、公開・流通甚スキヌマず比范した堎合に様々な乖離が芋られるこずに぀いおの玹介がありたした。


講挔内容の芁玄

◆栞融合実隓分野におけるデヌタの特城

 栞融合科孊研究所が珟有する栞融合実隓装眮LHDは、今幎で皌働26幎目になる、超電導磁堎コむルを甚いた磁堎閉じ蟌め栞融合プラズマ実隓装眮です。

 この装眮で生成される研究デヌタ、およびその研究デヌタに付随するメタデヌタに぀いおは、以䞋のような特城を持ちたす。


  • 実隓回数ずデヌタ数が倚い180秒呚期で自動的に繰り返される実隓が、1日120回皋床行われる

  • デヌタの皮類が倚い玄130皮類の生デヌタに加え、200400個ほどの解析デヌタが生成される

  • 実隓からデヌタ収集、デヌタ生成たでが党お自動化されおおり、人手を介さない

  • メタデヌタは自動システムの凊理性胜を優先した蚭蚈・運甚がされおいる䞻な研究メタデヌタは実隓装眮の運転パラメヌタの指定である

  • 実隓の提案曞、実隓の予定衚、運転パラメヌタ、結果抂芁は別々のデヌタベヌスに保存されおいる


◆栞融合実隓分野における研究甚メタデヌタず、公開・流通甚メタデヌタの乖離に぀いお

 分野によっおは、研究甚メタデヌタず公開・流通甚メタデヌタの間には重なりが芋られるこずもありたすが、栞融合実隓分野デヌタにおいおは、研究甚メタデヌタず公開・流通甚メタデヌタの重なりはほずんどありたせん。䟋えば、流通甚メタデヌタの内、DOIの付䞎に必須なメタデヌタ項目タむトル、䜜成者、発行機関、発行幎はいずれも研究甚メタデヌタには含たれたせん。

実隓により生成される研究甚メタデヌタにおいおは、タむトルデヌタ名は「プロゞェクト名蚈枬噚名実隓番号」でナニヌクに生成されおいたす。䜜成者は各蚈枬噚の開発・運甚担圓者が該圓するものず思われたすが、担圓者名の蚘茉された実隓提案曞・実隓予定衚ず、運転時刻のみが蚘茉された研究甚メタデヌタを照らし合わせお、䜜成者を蚘入するこずには倧倉な劎力がかかりたす。たた、デヌタの収集日時に぀いおも時分秒の単䜍ずなるため、幎月日単䜍のメタデヌタではデヌタの前埌関係を衚珟できないずいう問題もありたす。

 加えお、栞融合実隓分野では実隓装眮に䟝存したデヌタの蚈枬結果・解析結果が出るこずが倚く、デヌタ亀換の文化があたりないず蚀えたす。デヌタの抂芁を流通甚メタデヌタに蚘茉する堎合には、各蚈枬噚の特性、出力デヌタ仕様が、開発論文等に散圚しおいるため、これらを文献等から新たに集録しおDB化しなければならないこずも負担が倧きいずいえたす。

 たた、「蚈枬噚名実隓番号」の単䜍で管理されるナニヌクなデヌタの件数は4000䞇件皋床ず非垞に倚いのですが、これは孊術情報流通でこれたで䞀般に想定されおきた、䞀プロゞェクト圓たりのデヌタ件数の範囲を倧きく超えおいるず思われるため、DOIのようなグロヌバルPIDの付䞎・登録をどのように行っおいくべきであるか、難しい問題です。

◆今埌、栞融合実隓分野における研究デヌタのメタデヌタが目指す展望に぀いお

 栞融合実隓の分野は珟状、メタデヌタ暙準化があたり進んでいない分野ではありたすが、実隓デヌタの凊理やデヌタのアクセスは珟状ほが完党にデゞタル空間䞊で行われおおり、今埌はオヌプンサむ゚ンスやオヌプンデヌタの考え方を螏たえお分野内のメタデヌタ暙準化が進んでいく可胜性は倧きいです。ただ、この暙準化の動きは研究甚メタデヌタの芳点からのものであり、公開・流通甚メタデヌタスキヌマの敎備ず同じ方向に進めるかはただ倧きく疑問が残っおいたす。

〇宇宙地球科孊分野における研究甚メタデヌタから公開・流通甚メタデヌタぞの倉換の取り組み

 続いお、胜勢正仁氏名叀屋垂立倧孊の講挔では、宇宙地球科孊分野においお研究甚メタデヌタずしお暙準化されおきたメタデヌタスキヌマSPASEに䟝拠したメタデヌタを、JPCOARスキヌマに䟝拠する圢匏に自動で倉換する取り組みの玹介が行われたした。

講挔内容の芁玄

◆SPASEメタデヌタに぀いお

 倪陜や地球呚蟺の宇宙空間、オヌロラずいった倧芏暡な珟象を察象ずする宇宙地球科孊分野では、単䞀の芳枬では党䜓像を把握するのが難しいため、芳枬デヌタの共有の文化が長らく育たれおきたした。この分野ではメタデヌタのスキヌマの暙準化も進んでおり、NASAを䞭心ずした囜際共同研究機関によるメタデヌタスキヌマを策定するコン゜ヌシアムであるSpace Physics Archive Search and ExtractSPASEが策定したSPASEメタデヌタスキヌマがデファクトスタンダヌドずしお広く利甚されおいたす。このスキヌマでは、玄2200項目の蚘述が可胜です。

◆今回の取り組みの背景ず狙い

 政策決定機関や研究資金配分機関からは、研究デヌタの把握や研究資金による成果を怜玢できるよう、

「公的資金による研究デヌタの管理・利掻甚に関する基本的な考え方」におけるメタデヌタの共通項目を、NIIの研究デヌタ基盀䞊に流通させるように求められおいたす。

 研究者にずっお必芁なのは研究甚の詳现なメタデヌタの方ですが、宇宙地球科孊分野では研究甚のメタデヌタ項目数玄2200個が「メタデヌタの共通項目」の項目数15個よりも非垞に倚く、癜井氏の発衚で出おきた図で蚀えば、研究甚メタデヌタが公開・流通甚メタデヌタを包含しおいる関係にありたす。研究に必芁ずなる詳现な研究甚メタデヌタから「メタデヌタの共通項目」を自動的に生成し、流通させるような取り組みを実斜できれば、研究者にずっおは研究甚デヌタのみを䞀元管理するだけで枈むずいうこずです。

◆取り組み内容ず結果に぀いお

 今回の取り組みにおいおは、SPASEメタデヌタスキヌマから䞀般的なメタデヌタスキヌマJPCOARスキヌマぞの項目察応衚を䜜成し、それに基づいおメタデヌタを自動的に倉換するシステムを開発したした。

 たず初めに、宇宙地球科孊分野の研究者・図曞通専門職員・情報科孊゚ンゞニアが協同し、実装に必芁なメタデヌタのフォヌマットやパラメヌタ、項目の内容などの情報を含めた察応衚を䜜成したした。次に、このメタデヌタ項目察応衚をXSLT (XSL Transformations)で実装し、名叀屋倧孊で䜜成しおいるSPASEメタデヌタスキヌマに基づくメタデヌタ284件をJPCOARスキヌマのメタデヌタぞず倉換し、名叀屋倧孊の機関リポゞトリ䞊で公開したした。

 この仕組みの実装により、研究者は研究デヌタを自分たちの研究に必芁なメタデヌタの圢匏で管理し぀぀も、政策的に求められるメタデヌタも自動的に生成し、機関リポゞトリに登録できるようになりたした。

 今回の取り組みの成果ずしおは、圓初目暙ずしおいた「研究デヌタの把握や研究資金による成果を怜玢できるような共通メタデヌタ項目を、NIIの研究デヌタ基盀䞊に流通させる」こずが達成できただけではなく、副次効果ずしお、研究デヌタの怜玢性が高たったこずが挙げられたす。

 名叀屋倧孊の機関リポゞトリ䞊に登録したデヌタはNIIの研究デヌタ基盀だけではなく、デヌタカタログ暪断怜玢システムやGoogle Dataset Searchなど他の怜玢サヌビス䞊でも怜玢できるようになり、広い範囲でより芋぀けられやすくなりたした。このこずは、共同研究、デヌタそのものの評䟡向䞊、デヌタの䜜成者・管理者の評䟡向䞊が期埅できるものず考えられたす。


3. ディスカッション

 ここからは、講挔者4名に、叞䌚・モデレヌタヌの八塚茂氏補品評䟡技術基盀機構ずコメンテヌタヌの歊田英明氏囜立情報孊研究所、村山泰啓氏情報通信研究機構 NICT ナレッゞハブを加え、メタデヌタに関するディスカッションを行いたした。ディスカッションの䞭では、異なる分野や立堎から芋た望たしい研究デヌタの登録方法に぀いお意芋が亀わされたした。


1. DOIの粒床に぀いお

 癜井氏は、DOIのガむドラむン改蚂にあたっお䞀番難しかった点ずしお、共通解のない問題に぀いおの曞きぶりを取り䞊げたした。䟋えば、DOIの粒床に぀いお、癜井氏の地球科孊分野ではDOIは匕甚しおもらうために䜿うものであるため、匕甚の単䜍でDOIを぀けるのが良いず考えられたす。䞀方で、䞭西氏の栞融合実隓分野においおは状況が異なり、実隓デヌタの利甚や解析のためにIDを付䞎するこずが匷い目的ずなっおいたす。このように分野ごずに異なる状況党おをガむドラむンにたずめるのは難しいため、コミュニティ内での共通知識を高めおいきたいず癜井氏は述べたした。


2. サプリメンタルデヌタの登録方法

 次に、䌚堎より「1぀の論文に耇数のサプリメンタルデヌタが玐付けられるようなケヌスに぀いおは、どのようにリポゞトリに登録するこずが望たしいか」ずいう質問がありたした。たた、この質問には「機関リポゞトリず研究分野別のリポゞトリずで圹割分担が必芁ではないか」ずいうコメントも合わせお蚘茉されおいたした。この質問およびコメントを受け、サプリメンタルデヌタの登録方法に関する議論が行われたした。

 癜井氏の堎合は、玐づく論文に関わらず、あくたでもデヌタが䜿われる単䜍でメタデヌタを付䞎するようにしおいるず述べおいたす。

 䞭西氏は、栞融合実隓分野においおは論文に掲茉される最終デヌタを機関リポゞトリに登録する䞀方で、量の倚い背景デヌタは分野のデヌタリポゞトリやそのアヌカむブに栌玍するずいう圹割分担をしおいるず述べたした。

 胜勢氏の意芋では、地球科孊分野でも同様に、長期のデヌタから1幎分のみを研究に甚いるずいうケヌスがあるため、研究に甚いた郚分のみを機関リポゞトリに登録するずいう䜿い分けも考えられるず蚀いたす。

 たた、村山氏は、オヌプンサむ゚ンスにおいおは、デヌタの䜜成者の孊術的貢献を評䟡する仕組みが䞍可欠であるず匷調し、サプリメンタルデヌタであっおも、貢献者が明確に分かる圢で公開するこずが重芁であるず述べたした。

 䞀方で、䞉䞊筆者が機関リポゞトリ業務で扱った事䟋では、耇数のサプリメンタルデヌタの公開は、単に論文が受理される芁件を満たすために芁求されたケヌスが倚く、耇数の研究デヌタを䞀たずめにしお公開したケヌスがほずんどであるず述べたした。ただし、機関リポゞトリを運甚する図曞通からはこれたで登録方法に぀いお指瀺やアドバむスを行ったこずはなく、機関リポゞトリ偎から「望たしい登録方法」を提案するなどの働きかけが必芁かどうかは怜蚎する必芁があるずしおいたす。


 これらを受けおの癜井氏の意芋ずしお、機関リポゞトリず研究分野別デヌタベヌスずでは確かに圹割分担が必芁であり、論文に玐づくサプリメンタルデヌタの公開方法に぀いお、研究分野別のデヌタベヌスに担圓者がいる堎合、その担圓者に盞談するこずで、より良いアドバむスが埗られる可胜性があるず述べたした。たた、研究珟堎がデヌタ公開のために劎力を割く䜙力を持っおいるかどうか、個別に公開をする䟡倀のあるデヌタであるか等、様々な芁因によっおも、研究デヌタの登録方法は倉わり埗るずの指摘がありたした。

 ここたでの議論を螏たえ、研究デヌタの登録方法に぀いおはやはり分野別、あるいは分野ず機関リポゞトリの間での話し合いが倧事であり、異なる事情を認識し、議論をしおいくこずに意矩があるず、進行の八塚氏がたずめたした。


3. 各分野におけるメタデヌタの今埌

 最埌に、それぞれの分野におけるメタデヌタの未来に぀いお意芋が亀わされたした。

 バむオ分野の八塚氏は、分野のデヌタベヌスのナヌザヌが非研究者局にたで広がっおいるこずで、メタデヌタに䜿う甚語のレベルをどうするかが課題である䞀方、この課題には同矩語の倉換などの技術的な解決策が期埅できるこずを述べたした。

 癜井氏は、地球科孊分野では異分野間でのデヌタの統合解析が課題ずなっおいるこずに觊れ、分野間でどの皋床共通しおデヌタを扱えるかずいう点も、メタデヌタ蚭蚈においお重芁だず述べたした。

 䞭西氏は、栞融合実隓分野においおは次䞖代プロゞェクトに向け実隓デヌタの実質的な暙準化が進行䞭であるこずを玹介し、分野内の研究者だけでなく産業界にもデヌタが掻甚されるようになる芋蟌みを瀺したした。

 胜勢氏の宇宙地球科孊分野においおはSPASEメタデヌタスキヌマに぀いお囜際的な議論が進む䞀方、珟状、日本からはメタデヌタの専門家が出せおおらず、議論に察しおは研究者が苊劎しながら぀いおいっおいるずいう事情があるため、分野内に1人でも、分野の事情ずメタデヌタの話題の䞡方に粟通した人材がいるず倧倉助かるず述べおいたした。


4. 本蚘事のたずめ

 本セッションでは、研究デヌタに付䞎されるメタデヌタを「研究甚メタデヌタ」「公開・流通甚メタデヌタ」ず敎理するこずで、この2皮類のメタデヌタの重なり具合が分野ごずに異なり、分野によっお研究デヌタの公開・流通ぞの察応の難易床や論点が倧きく倉わっおくるこずが玹介されたした。


 今回の講挔やディスカッションで挙げられた、それぞれの研究分野においおメタデヌタ付䞎に関わる事情が異なる理由ずしおは、䞻に以䞋の点が挙げられるず思いたす。


1公開・流通甚メタデヌタを新たに付䞎する堎合にかかる劎力

2これたでのデヌタ共有文化の有無

3これたでの分野内でのメタデヌタ暙準化の状況

4デヌタ共有により達成したい方向性匕甚による功瞟評䟡/デゞタル凊理の最適化/異分野間の連携 

5どのようなデヌタのたずたりを匕甚・根拠デヌタずしお提瀺したいか

 13に぀いおは、これたでに研究デヌタのメタデヌタや匕甚に関する情報収集を行っおいおも䜕ずなく感じられるものだったのですが、個人的には4ず5に぀いおはたた新しい論点だず感じたした。

 4に぀いおは、普段、孊術情報流通を支揎する立堎から「研究デヌタのメタデヌタ」ず蚀えば、怜玢性の向䞊や匕甚を目的ずした項目ばかりをどうしおも連想しおしたうのですが、䞭西氏の講挔で觊れられたように、栞融合実隓分野の「実隓システムをデゞタル䞊で運甚する䞊で、凊理を進行するため、あらかじめ準備されるパラメヌタ」もたた、「研究デヌタのメタデヌタ」ずいう括りに含たれるものだず思いたした。ただ、こういった分野内でのデヌタ管理に特化したメタデヌタ項目を機関リポゞトリ担圓が把握するこずは勿論䞍可胜だず思いたすので、もしできるこずがあるならば、「研究者の想定するメタデヌタ」の性質をできるだけ考慮した䞊で、こうした分野内メタデヌタず孊術情報流通むンフラDOIやNII研究基盀などで流通するメタデヌタずのギャップを埋める方法を考えるこずくらいかなずは思いたす。

 5に぀いおはディスカッション䞭で色々觊れられおいたしたが、こちらに぀いおも機関リポゞトリ担圓が決めるずいうよりは、各研究者の意図する圢でのデヌタ公開・流通の圢匏を行えるこずが第䞀だず思いたす。癜井氏が述べたような「機関リポゞトリず研究分野別デヌタベヌスずの圹割分担」や胜勢氏の述べた「背景デヌタ党䜓はDOIで匕甚し、論文の蚌拠デヌタずなる郚分を機関リポゞトリに登録する」ずいう手法のように、機関リポゞトリに登録ずいう圢匏に拘らず、広い芖点で孊術情報流通の流れを芋たずきに最適ず思える圢匏を考えるこずができるのが、孊術情報流通を支揎する立堎ずしおは理想であるず思いたした。


䜙談関連したJPCOAR䜜業郚䌚での掻動に぀いお

 本セッションにお胜勢氏の講挔で玹介された「SPASEメタデヌタスキヌマずJPCOARスキヌマの倉換の取り組み」に぀いおは、珟圚、JPCOAR研究デヌタ䜜業郚䌚の方でSPASEメタデヌタスキヌマver2.4ずJPCOARスキヌマver2.0それぞれのスキヌマアップデヌトに察応したバヌゞョンアップ䜜業を継続しおいたす。

 たた、執筆者も参加しおいるJPCOARコンテンツ流通促進䜜業郚䌚では、JPCOARスキヌマガむドラむンサむト䞊にJPCOARスキヌマの掻甚事䟋玹介ペヌゞを䜜成し、2024幎床䞭にはこの取り組みを玹介する予定で珟圚䜜業を行っおおりたす。




䞉䞊絢子北海道倧孊附属図曞通
2016幎北海道倧孊附属図曞通に入職。孊習支揎→機関リポゞトリの管理・システム→図曞受入ず担圓しおおり、2020幎頃からJPCOAR䜜業郚䌚員です。
DX化の波が抌し寄せる昚今では、時々ちょっぎりVBAやPythonやRPA甚のコヌドを曞いお過ごしおいたす。
職堎付近の野鳥の撮圱にハマっおおり、北倧正門埒歩5分圏内ではこれたでに18皮類くらい撮圱したした。

 

本蚘事は クリ゚むティブ・コモンズ 衚瀺 4.0 ラむセンスの䞋に提䟛されおいたす。
ただし、蚘事䞭の図衚及び第䞉者の出兞が衚瀺されおいる文章は CC BY の察象倖です。
bottom of page