2022年9月29日から9月30日にかけて、COAR-Asia OAとカンボジアのCenter for Khmer Studies Library(CKS Library)によって標記のワークショップが開催されました。このワークショップの1日目午後のプログラム「4 Case Studies – Sharing Experiences on Developing Digital Libraries, Opportunities, Challenges, and Lessons Learned」において、事例報告として日本の機関リポジトリ構築の現状とJPCOARの活動についてお話をしましたので、ご報告します。
このプログラムは、私を含めて4名の登壇者からオープンアクセス推進のための取り組みについての事例報告をした後、登壇者とワークショップ参加者が質疑応答を行い、質疑のやり取りについて、当日進行を務められたWanna Net氏(Royal University of Phnom Penh・カンボジア)からコメントがあって知識・理解を深化させる、という構成で行われました。
事例報告では、まずNet氏から論文・データのオープンアクセス化の概要とご所属大学での取り組みについてお話があった後、Yuyun Wirawati氏(Nanyang Technological University Library ・シンガポール)とSawitree Boonpalit氏(Mahidol University Library and Knowledge Center・タイ)から、それぞれのご所属大学での取り組みについてご紹介がありました。それぞれの方のお話を聞き、オープンアクセスやコンテンツ提供について学内での理解を得ること、知識を担当内で継承していくことなど、問題意識が共通していると感じました。私からは、日本の機関リポジトリ構築機関数や登録コンテンツの構成、JAIRO Cloud・JPCOARスキーマの紹介や、JPCOARの体制・国内外での活動とこれからの展望についてお話をしました。
事例報告の時間が少し延びてしまったので、質疑応答を含めたディスカッションの時間は当初予定より短縮となったのですが、限られた時間でも参加者からは活発に質問が出ました。日本での取り組みについては、JAIRO Cloud以外で機関リポジトリに使われているシステムや、学術情報流通で主流になっている英語との間にある言語の壁への対応などに関心が集まりました。
海外のイベントにオンラインで参加したことはありましたが、自分がそこで話すというのは不思議な感じでした。海外のワークショップで話すのですが、と職場の方などにお話しすると、せっかく海外なのに出張じゃなくて残念だね、とおっしゃっていただくこともありました。確かに残念と言えば残念なのですが、部署内の(それから家庭内も)調整をしたり、出張の手続きをしたりということがなく参加できたのはよかったかもしれません。オンラインだったので、知っている方が大勢覗きに来てくださっていたのも、ちょっと安心しました(大勢の知人に見られているかと思うと若干緊張もしました)。一方で、ほとんど経験のない英語での発表で、参加している方々の反応が見えなかったり、会場の空気感が分からなかったりするのは少し大変でした。
それでも、会場のカメラに映っている大勢の参加者の方たちからは真剣さが伝わってきましたし、海外の大学での事例をお聞きしたり、オープンアクセス・オープンサイエンスについての問題意識はやはり世界で共通なのだと実感できたりしたのは大変貴重な経験になりました。
末筆となり恐縮ですが、発表資料、発表内容をまとめるに当たって多大なるお力添えをいただいた方々、ワークショップへの派遣の後押しをしてくださった方々に、この場を借りて改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
安 達 修 介 (東京大学 ・イベント運営作業部会)
現所属では閲覧業務全般、JPCOARイベント運営作業部会では初任者向け研修などのイベント企画・運営を担当。
中学の時の「中学3年間の英語学習でなんとでもなる」という先生の発言を信じて今回のWSに参加。
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