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JAIRO Cloud(WEKO3)ビギナーQ&A ~リポジトリ登録で困った時は~
JPCOAR広報・普及作業部会
24/3/29
JPCOARがNIIと共同で運営している、機関リポジトリ環境提供サービスJAIRO Cloud。
その基盤となるソフトウェア「WEKO」は昨年2023年にWEKO2からWEKO3へ大幅なバージョンアップが行われました。
今回はWEKO3を使った機関リポジトリ(以下、リポジトリ)業務に初めて携わる方や、基本的なサポート情報を一から知りたい方に向けて、JPCOAR作業部会のメンバーで話し合った様子をお届けします。
今回のメンバー
安田 翔子(広報・普及作業部会/富山大学)
リポジトリ業務は7年目になるんですけど、見ながら見よう見まねでやっています。今でも知らなかったなって思うことがいっぱいあってまだまだ手探りな状態です。
伊藤 文 (広報・普及作業部会/富山大学)
私はリポジトリ関係は 一切携わってなくて。今回も事前の資料に目を通そうとしたらどこがどこかよくわからないなあみたいなそんな状態です。
南雲 修司(広報・普及作業部会/東京学芸大学)
本格的にリポジトリを担当して1年目になります。メーリングリスト見てるといろいろみなさん難しいところがあるなと思っていたので役立つ記事ができればいいなと思います。
永井 一樹(広報・普及作業部会/兵庫教育大学)
リポジトリ担当は2006年からやってますけどあんまり詳しくないです。2021年までDSpace使ってまして、そこからJAIRO CloudのWEKO2でやって、昨年WEKO3に更新しました。
大澤 紗都(次期JAIRO Cloud移行TF/広報・普及作業部会/国立情報学研究所)
図書館でのリポジトリ業務の経験はないんですけれどもJAIRO Cloudに関わって2年目になります。今はアップデートと移行で起きた問題の対処を中心にしています。
加川 みどり(次期JAIRO Cloud移行TF/イベント運営作業部会/神戸松蔭女子学院大学)
ITスキルも知識もないですが、中小機関の担当者の立場でJAIRO Cloud移行TFに参加させていただいています。少しでも皆さんの役に立つことがあったらお伝えしたいなと思っています。
Q.はじめてのリポジトリ担当。まずは何から学べばいいでしょうか?
安田
リポジトリ担当者に向けて発信しているウェブサイトは様々ありますが、初めてリポジトリ担当になった時に、まずどこを見て知識を得ればいいでしょうか?
南雲
初めてリポジトリを担当するとなると、リポジトリとはなんぞや?という話からだと思います。参考になる資料としては、JPCOARのウェブサイトに研修資料アーカイブというのがあって、そこに新任担当者研修の資料があるので参考になるのではないでしょうか。
担当者研修は毎年やっていて、最新版は「学術コミュニケーションセミナー(JPCOAR Webinar)まとめ」にまとめられています。2023年度に開催された第2回JPCOAR Webinar「オープンアクセス新任担当者相談会」では、基礎知識やリポジトリの概論のようなお話をされいます。永井さんも講師を担当されていますね。
第2回JPCOAR Webinar「オープンアクセス新任担当者相談会」
(「学術コミュニケーションセミナー(JPCOAR Webinar)まとめ」)
安田
定期的に開催されてるウェビナーを見ていただくと勉強になるということですね。
南雲
ですね。全部見るのは大変なので、まず新任向けの資料でリポジトリとはどういうものかということを最初に学ぶのがいいんじゃないかと思います。実務のことだけ早く知りたいという方もいると思いますが。
加川
あとですね、リポジトリに登録したデータを収集するIRDBについて取り上げた第4回のウェビナー「IRDB-カラクリと役割:どこから・どこへ・どのように-」は最近IRDBのハーベスト(収集)に関する問い合わせが増えていて企画したんです。
内容は少し難しいのかもしれないですけど、知っていたらかなり解決できる問題が出てくるんじゃないかなと思って。これはおすすめです。私の一押しです。
第4回JPCOAR Webinar「IRDB-カラクリと役割:どこから・どこへ・どのように-」
(「学術コミュニケーションセミナー(JPCOAR Webinar)まとめ」)
南雲
とても勉強になって面白かったです、あのセミナー。ML(メーリングリスト)を見ていても、ハーベストは初任者の方がつまりやすいポイントなのかなと思います。
加川
IRDBがどのようなことをしているのか、ということをわかりやすく解説されていますし、後半は実務担当者目線で活用方法やエラー解消をどのようにしているのか、事例を紹介してくださっています。
その2つの動画を合わせたらある程度IRDBのハーベストについては理解できるのではないでしょうか。
Q.WEKO操作に関する情報はどこを見ればいいでしょうか?
伊藤
話は戻りますがリポジトリの登録作業をする際に、操作に関してまず一番最初にどれを見ればいいとかってあるんですかね?
加川
操作する際に最初に見て欲しいと思って作っているのは基本マニュアルだと思っています。上から順番に項目を見ていただくと、どう操作するのかわかると思うんですが、言葉が専門的で難しい点が少し初心者には厳しいかなと。
南雲
用語集というのがあるんですよね。
伊藤
一通り読んでみました。一つ一つ記事を読んでいけば、とってもわかりやすいんですが一番最初にこれ全部読むのは多いというか…。作業に対する流れが把握できて知りたいことがあったらパッと調べられるみたいな感じにはならないんでしょうか?
大澤
作業の流れというのは機関によって大きく変わるので、なかなかサポートが難しい点ではありますね。
文字だけで見るのが大変だったら、移行サポート動画もあります。WEKOを操作するのが初めてという方は動画を見ていただいた方が大体のイメージがつかめてわかりやすいかもしれません。
次期JAIRO Cloud(WEKO3)操作説明会 - YouTube
伊藤
ここにたどり着ければ行けそうな気がします!
Q.最新の情報はどこで得られますか?
伊藤
基本的な操作はマニュアルや動画を見るとして、新しく情報が更新されたりリアルタイムで発生している現象については、どこかに情報が載っていたりするんでしょうか。
安田
基本マニュアルの他にもリリースノートというページにWEKO3の最新の情報や今まで発生した問題の解消方法や課題などの大事な情報が載っていますよね。
大澤
最新のリリース予定日のページ下に「最新の課題リスト」っていうものがついています。ちょっと見づらいので、ダウンロードした方がエクセル形式で見やすいですね。ここに発生したバグやその対策が書いてあるので、操作していて何かおかしいな?と思ったときに、まずここをチェックしてみてください。
安田
キーワード検索で知りたい事をリストから探せばいいでしょうか?
加川
キーワードだと自分が想像してることと実際の事象とが食い違っているとなかなか行き着かないので、カテゴリーごとに分けて、知りたいカテゴリーを上からざざっと見ていくと、見つけやすいかな、と思います。
課題リスト
南雲
MLで問い合わせる前に、一度リリースノートを見て既に同じ問題が上がっていないかどうか確認してみるのもいいですね。
大澤
そうですね。また、リリースノートの他に「本番移行における重要情報まとめ」というページも見ていただきたいなと思っています。基本情報にマニュアルやリリースノートなど見て欲しい資料の一覧が載っています。
特に「データ移行ツールに関連する問題点まとめ」は今でもよく更新されているので見てもらいたいです。
Q. データの入力は何を参考にすればいいでしょうか?
安田
データを入力する作業も悩むポイントは多いですよね。どこに何を入れたらいいのか、この書き方で合っているかとか…。
永井
データを入力する際によく参考にするのは「JPCOARスキーマガイドライン」ですね。各項目わかりやすく編集されてて、非推奨の項目とか見ればこういう書き方はだめなんだっていうことが分かりやすいです。
加川
アイテムタイプを設定する時にはこちらを見るのが必須なんじゃないでしょうか。エラーが出た時はここも確認するとよいと思います。
大澤
IRDB(学術機関リポジトリデータベース)から届くエラーについては、「本番移行における重要情報まとめ」の「本番移行後のIRDBハーベストについて」という、ハーベストの話をまとめているページがあるんですね。
JAIRO Cloudを使っている方だったらこのページを見ていただくと、基本的な情報がまとめられているので、このページからIRDBに飛んだり、サポートページに飛んだりっていうことがしやすいのかなと思います。エラーのメールが届いたらここを見ていただければ。本当は先に見ておくといいかもしれないんですけど、それはちょっと難しいのかな?
安田
いろんな情報が多すぎてパンクしそう…。
加川
書いてある事を全部見て、エラーを起こさないようにっていうのはちょっと難しいっていうか、それをしていたら登録できないと思うんです。
エラーはそんなに怖がらなくてもいいんです。先ほど一押しした第4回JPCOAR Webinarで、エラーが来た時にどうしてますか?という事例報告を取り上げているので、とりあえず他機関のやり方を真似てみて順番に潰していけばいいんじゃないでしょうか。
Q. 初任者に向けてアドバイスはありますか?
安田
これからWEKO3を初めて使う方に向けて伝えたいことがあれば教えてください。
永井
僕、昔ちょっとだけサーフィンしてたことあるんですけど、ドルフィンスルーっていう基本ワザがあるんですよ。沖に出るために向かってくる波をすっと潜ってかわすワザ。結構難しいんですけど、でもそれを超えると急に水平な場所に出て視野が開けるんです。
WEKOの仕事もこれに似ていると思います。運用開始までのハードルが結構大きいですよね。でも、それを超えるとフラットな地平に出ると思います。だから、とりあえず最初だけ頑張ってくださいとお伝えしたいです。
加川
マニュアルに沢山難しい言葉があると、言葉の意味を調べるじゃないですか。そうすると今度はそもそも何を探していたか忘れちゃうんですね。わけのわかんないカタカナ用語で止まっちゃって。そこで止まってしまうと分からないっていう状態が続いてしまうので、時には今は分からなくても次に行っちゃっていいんです。
新しい言葉とか概念とかって一回聞いただけでは理解できなくて、何回も耳にすると理解できるんですね。その繰り返しです。
WEKO3は移行したばかりでいろいろ課題もあるんですけど、登録作業については怖がらなくてもいいのかなと思います。私の経験上、理解が進んだのは、学んでいた側から教える立場になった時点でポンと蓋が開いたっていう感じだったんです。だから人に教えるっていうことを、例えば同僚さんとかに教えてあげるような機会があればもっと理解が進みますよ。
大澤
まずJAIRO Cloudに慣れるところまでどうしても頑張りが必要になってしまう部分もあるんですけれども、その頑張りが必要なところをどれだけサポートできるか、こちらとしては頑張りたいと思っていますので引き続き使っていっていただけたらなと思います。今回はウェブサイトを中心にお話ししましたが、アナウンスでも重要な情報を案内しているので、長文になってしまって読みにくい部分もありますがなるべく見ていただけると嬉しいです。
安田
今回のお話を聞けて今までなんとなく知っていた情報が整理できた気がします。リポジトリは専門的な言葉や知識が多く、初任者には大きな壁に感じるかもしれませんが、皆で知識を共有しながら進んでいきたいですね。
今回ご紹介した各種ウェブサイトはJPCOARウェブサイトの左メニューにまとめられています。
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